ストロンチウム90の内部被曝測定について
最近、ベータ線を放出する核種が福島第一原発近海や海に近い井戸から続々と検出されています。
しかしながら、内部被曝検査を受けてみると、検出しやすいガンマ線放出核種のみの報告書が
一般的なようです。
ベータ線放出核種のうち、トリチウムはともかく、ストロンチウム90による内部被曝は測定する
方法が全くないわけではありません。というのは、体内において摂取されたストロンチウム90は
カルシウムと同様の吸収経路を辿ります。カルシウムは骨に99%、歯に1%蓄積されますから、
理論上は歯を測定すればよいわけです。
歯の測定に最も適しているのが、子どもの場合は抜けた乳歯です。ただし、実際に抜けた乳歯を
測定に出した経験から言いますと、比較的大きい臼歯(奥歯)でも1本200mg程度しかないので、
天然に存在するストロンチウムの比率から、歯に蓄積されたストロンチウム90の存在を推定する
ことになり、正確な値が出るわけではありません(注:放射性でないストロンチウムは海水の中に
含まれ、エビやカニがそれを使い殻を作ります)。それでも一つの目安になるでしょう。
ちなみに天然に存在するストロンチウムの比率は、ストロンチウム84が0.56%、86が9.86%、
87が7.0%、88が82.58%です。
測定機関ですが、いくつかあるものの、試料が1kg相当ないと受け付けてくれないところがかなり多い
です。従って微細分析のできる測定機関に依頼するしかありませんが、ここが微細分析を手がけています。
推定値で料金が1万5千円でしたので、これを妥当な料金と見るか否かは個人の判断です。
注意点としては、必ず事前に連絡を取り(測定に出す歯の質量を測った上で)ストロンチウム90の測定
を依頼したいが、この質量で可能かどうかについて相談して下さい。単に「ストロンチウムの含有量を
知りたい」と申し出ると、前記の天然のストロンチウムも含んだ値が出てきてしまうので注意して下さい。
担当部署は、材料営業部になります。 (加藤)