長崎原爆忌によせて
核分裂や核融合の仕組みを知るようになったそもそものきっかけは、はるか昔の中学時代、一人
の数学担当教師(女性)に出会ったこと。非常に厳しく、もちろん無駄話は一切しないのに、
ある日自らが長崎で被爆したときのことを話してくれたことがある。
内容はほとんど覚えていないのだけれど、「ピカッと光った瞬間に、『あっ焼夷弾が落ちた!』と
思った」という発言だけは覚えている。なぜそんな話をしたのか、ふわふわと過ごしている生徒達
が歯痒かったのか、たぶんそんなところだろう。
それからすぐにチェルノブイリ原発事故が起こり、「同じ核なのに、爆弾と発電所の違いは何?」と
いう素朴な疑問を持ち、(当時はネットなどなかったから)理科の先生に聞き、高校に進学してから
は自分でも調べ、核分裂や核融合の仕組みが何となくわかり、(何となくなので当然理系ではない)
大卒後最初の就職先が半導体業界だったので、Ge半導体のこともついでに学んだ。
以前規模が大きめの文芸誌のバックナンバーを探していたときに、目次に頭書の数学担当教師の名
を見つけたことがある。同姓同名、出身地も同じ、長崎の原爆についての随想らしきタイトルだった
が、18年くらい前の号で、もしかしたらもう世を去られているかもしれない。いつか国会図書館でも
行って所蔵していたら読んでみようと思う。 (加藤)